2021年11月の話題

あと一回となった仏滅会での発表を振り返る

本年もあと1ヵ月となりました。仏滅会も予定通り行なわれ、毎回2名から研究発表が行なわれましたが、コロナで外出されなかった分だけ読書や執筆に励まれたものでしょうか、なかなか力作が多かったと思います。小生の評価作は次のとおりです。
○第250回記念仏滅会と40周年への祝辞(眞下氏)
 ロンドンホームズ協会等5名の海外のシャーロキアンからお祝いのメッセージを頂きました。これも日ごろから文通しておられたからのことと存じます。大変有意義でした。
○《緑柱石の宝冠》の闇(原田氏)
 連載第4回~14回まで本年は11回分が連載されました。これだけ細かく事件簿をチェックされているご努力には頭が下がります。
○ホームズ原理主義と発展主義(平賀氏)
 このテーマで4回連載しておられますが、ホームズを楽しく読むのはよいのですが、少し古参になると物識りぶりたくなるようです。論文の注釈についてホームズ研究家を自認する人ほど「僕はこれほどたくさんの説や情報を知っています」と自慢する役には立っても殆ど意味はありません。学術論文でもホームズ論文でも、実験や文献研究でデータを集め、それらを総合的に比較考察して新しい知見を得るのが研究ですがそこまで達していない―との指摘を忘れてはならないでしょう。
〇《株式仲買定員》を通じてみる犯罪と自殺(ハタ氏)
 なんだか途中になってしまった感じですが、このような研究もたのしいですね。次回の発表もしてみませんか。〇レディを探せ!(大川氏)
 推理小説にトリックはつきものであるが、正典にはほとんど登場しません。そこでThree-card trickとの言葉を追ってセンスの良い議論が述べられています。こういった洒落たエッセイもいいものです。
〇仏滅会報告では梅田の255回の分(西岡氏)と奈良の256回の分(林氏)が親しみをもてました。