第276回大阪仏滅会報告
山本公代
前日の雨も上がり節分の日の仏滅会は2月とは思えない暖かい日差しのもと大阪梅田エステートビル2階会議室において開催されました。交通至便な場所での会場確保には田村会員のお世話になりました。開会前から多くの方々にお手伝い頂いたおかげで、WEJ2月号の発送作業もスムーズに終了し、定刻よりも早く会がスタートできました。最初の発表は増田匡裕さんによる「メタファーによる理解:ホームズとマーブルを比較する」から。増田さんは、前日2月1日に富田林市から依頼されてホームズの講演をしてこられ、2日連続の講師です。捜査と診療は似ているという観点から「On the case」と「Revalidating Sherlock Homes For a role in medical education」という2つのコメンタリーを用いての発表です。
「探偵の思考パターンは記号論である」「ホームズは診療の基本である」「マープルは道徳性を使って、ホームズはサイエンスを使って推理する」など医療と心理をホームズやマープルと関連させながら難しい論理を面白く講義して頂きました。19世紀の探偵小説が今の現代になっても医学界で学ぼうとしているところが面白いという言葉が特に印象的でした。
さらに月見うどんはメタファー、きつねうどんはメトニミー、親子丼はシネクドキの話は頭をフル回転しながら聞きいりました。紹介頂いた『よくわかるメタファー』(ちくま学芸文庫)やアディクション推論についての『学力喪失』(岩波書店)も読んでみたいと思います。今回の内容は序章だということなのでこれからの本編、結末までの発表が楽しみでしかたありません。
西岡さんからの差し入れのお菓子を頂いてのティーブレイクの後、情報交換タイムではホームズ関連本やその他のおすすめ本、電車謎解き、指さんの講演紹介(ミステリのイギリス史/NHKカルチャー)、ポスターなど多彩な回覧や皆さんの近況報告も興味のそそる内容ばかりでした。又福島さんから次回甲南大学での仏滅会の紹介を、中尾さんからは5月の追分フォーラムの紹介を頂きました。
次の発表は眞下庄作さんによる「ワトソンの冒険シリーズ」です。今までの「ホームズ発表」シリーズはきめ細かい考察により大好評のもと完結を迎えられ、いよいよ今回からは「ワトソンと~」シリーズの第1回目です。ワトソンの学生時代までの考察をイギリスの作家ロバーツの著作「criterion年譜」を主軸として、トムスン、カーライル、長沼弘毅、生駒尚秋など多くの人の考察本と事細かく比較して推察発表されました。正典以外の文献についてもよく勉強しておられます。
(ワトソンの誕生は1852年ではないか、彼はオーストラリアで過ごし、イギリスの学校へ行った、オーストラリアに住んでいたのは13歳前後ではないか、ワトソンの母親は次男ジョン・H・ワトソンの誕生後すぐに亡くなった)、などなど。根気+克明+ホームズ・ワトソン愛が満載の眞下さんの発表がすばらしくて毎回ワクワクさせていただいています。続きがもっと早く聞きたいところですが、第2回目は新緑の美しい軽井沢の追分フォーラムでの発表が決定しています(5月5,6日)次回はワトソンとホームズが出会うまでの眞下考察が生で聞けるチャンスなのでどうぞ皆さん奮ってご参加くださいね。
閉会後は有志16名で徒歩3分の行列のできるイタリアンバルに移動し、お店のご厚意のもと2階を半分貸し切り状態で使用させてもらい、沢山のコース料理と飲み放題にて、楽しいひと時を過ごすことができました。
今回の開催にあたり、率先して司会からすべての進行、副幹事へのサポート、2次会会場下見までご一緒してもらい色々配慮頂いた幹事の林さんに心から感謝申し上げます。
- 第275回仏滅会報告
- 第274回仏滅会報告
- 第273回仏滅会報告
- 第272回仏滅会報告
- 第271回仏滅会報告
- 第270回仏滅会報告
- 第269回仏滅会報告
- 第268回仏滅会報告
- 第267回仏滅会報告
- 第266回仏滅会報告
- 第265回仏滅会報告
- 第264回仏滅会報告
- 第263回仏滅会報告
- 第262回仏滅会報告
- 第261回仏滅会報告
- 第260回仏滅会報告
- 第259回仏滅会報告
- 第258回仏滅会報告
- 257回仏滅会報告
- 第256回仏滅会報告
- 第254回仏滅会報告
- 第253回仏滅会報告
- 10月仏滅会報告
- 8月仏滅会報告
- 252回仏滅会報告
- 関西支部40周年記念仏滅会報告
- 249回仏滅会報告
- 12月仏滅会報告
- 20年10月仏滅会報告
- 20年2月仏滅会報告