第257回仏滅会報告

第257回仏滅会報告
山本 公代

 2021年12月5日、厳しい寒さが続く時期にはめずらしく、この日は冬のひだまりがことのほか感じられるような晴天に恵まれました。
 大阪駅周辺もクリスマスイルミネーションが華やかに街を彩っているのを横目に見ながら大阪市立総合生涯学習センターへと向かったのでした。会場はコロナ禍にぴったりの換気の良い広い部屋で、気持ちよくスタート。
 最初の発表は平賀三郎さんによる「ホームズ原理主義と発展主義」。マイクロフトの仕事が会計監査とあるところに着目、政府が115億円のアベノマスクを購入し、余剰となっていることを指摘した会計検査院、理事長が高額のリベートを受け取った背任事件など、いろんな場面での会計検査について解説し、日本の会計監査法規集など多くの資料を用いてマイクロフトの時代と現代の検査を比較、考察をして頂きました。
 1881年にホームズと同居を始めたワトソンが7年間も人間関係、友人のことを一切語らないのは本当に友達つきあいができていたのか疑問に残ることや、17時15分前からディオゲネス・クラブに行っていたという文献よりマイクロフトの日常行動や細かい地位の考察はとても興味深かったです。マイクロフトの役職について多くの意見が飛び交い、活発な議論の時間となりました。
 その後沢山のお菓子の差し入れを頂きながらのティーブレイクの後、2022年1月1日号のWEJに掲載する為、参加者全員で記念撮影をしました。どのような写真になっているか、次回号が楽しみです。
 真下さんからクリスマスプレゼントとして本や絵葉書のプレゼントもいただきました。近況報告タイムでは色々なジャンルの本の紹介や大木さん主催のシアターOМの舞台の紹介(バスカヴィル家の犬・サンタからの贈り物)などもあり大いに盛り上がりました。
 次の発表は和歌山からお越し頂いた増田匡裕さんの「癒されるワトソンと癒しのホームズ:友を失わぬためには社会性より社交性」です。
 2年前に「“癒し系仮説”に基づいて解釈するホームズの戦略的な冷淡さ」を発表しておられます。お仕事は和歌山県立医科大学保健看護学部教授で、この日の発表もハイレベルなお仕事の延長線にあるのかも知れません。
 増田さんのお話では、ホームズは非凡で独創的な人物で、その彼が天才的に見えるのは情報を注意深く利用可能な知識に体系化しているからであると説明されました。《紺色の研究》ではホームズの知識に限界があるとワトソンが誤解しましたが、これはホームズが事件に「選択的注意」を発揮したと言えます。
 ドイルが「注意」や「視点」に並々ならぬ関心を持っていたことは、心理学的に、注目に値します。『回想』が出版されたのはジェームズの『心理学』が出たばかりで、心理学に対する科学的アプローチはされていませんでした。また、このエピソードはホームズの卓越した対人コミュニケーションを示すものだといえると話されていたがとても印象的でした。
 ドイルは人間をよく見ているといった内容にも話を聞いていてよく理解できました。増田さんの言葉通りホームズ作品は再読に値する普遍的で素晴らしい作品なんですね。
 今回の出席者で注目された方は、広島から故松本賀久子さんのフィギュアを携えて参加された原田実さん。出席者に松本さんおお名前を入れなければならないかもしれませんね。
 興味深い内容であっという間に終了時刻となりました。最後に西岡さんから次回仏滅会の紹介をして頂いて会は無事終了。閉会後は隣の大阪駅前第3ビルのイタリア料理屋でお店のご厚意により貸し切り3時間、ゆったりとした空間と時間のおかげで楽しい夕食会となりました。今回の開催において副幹事としてすべてのサポートをして頂いた吉永さんに感謝申し上げます。来年こそはコロナに負けず追分フォーラムが開催されることを切に願ってやみません。