249回仏滅会報告

 

第249回仏滅会報告
福島 賛

 「コロナ禍」という言葉が定着しつつある昨今、大人数で集まることはかなり難しくなった。オンラインでできることはオンラインで、というのは当面の対策、参加しにくい遠隔地の会合に参加できるメリットもある一方で、これまで当然のように会えていた会員たちと気軽に会えなくなるのは悲しいことである。
 このような状況の中、10月に8ヶ月ぶりに開かれた第251回奈良仏滅会が成功裏に終わった流れを受けて、4月に開催予定だった第249回仏滅会が、去る11月7日、豊中市立文化芸術センターのアクア音楽室を借りて行われた。8月に会場を取った時には11月にどのような状況になっているか全くの手探り状態であったが、会場費が安いので万が一キャンセルになったとしても出費が少ないのと、定員の半分での使用が義務付けられているので、広く、換気が良い、三密ではないのが利点であった。天候が雨の予報ということもあり、出足が心配であったが、東京、名古屋、和歌山野会員など久しぶりの方も含め19名が参加。盛会となって一安心である。
 机や椅子は準備室にあるので、まずはそれを出すところから始めなければならなかったが、会員一同慣れたもので、スムーズに会場を設定し、検温等も済み、久方ぶりの会報発送作業まで滞りなく進んだ。
 発表はまず外海靖規さんの「彼の花嫁たちによって裸にされた探偵、さえも」から。当初は4月の仏滅会で予定されていた発表である。一見すると奇抜なタイトルは、フランスの美術家デュシャン(Duchamp)の作品をオマージュしたもの。内容は聖典中の結婚がテーマで、発表はヴィクトリア朝の社会情勢を背景に展開され、図らずも如何に正典中で不幸な花嫁が多いかをあぶりだす結果となり、自作された分類表は実に興味深いものであった。
 飲み物はコロナ感染予防のため各自調達、それと差し入れのお菓子によるティーブレイクの後、近況報告では特に現在の大学授業の大変な状況のご報告が印象に残った。
 2番目の発表は渡辺利枝子さんによる「シャーロッキアンが見るロンドン・ナショナル・ギャラリー展」。当初の4月開催の予定では「ホームズ物語におけるイギリス画家たち」との題で予告されていたが、大阪では中之島の国立国際美術館で11月3日から来年1月末まで開催されている、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展をいち早くレヴューしたものである。聖典に登場する画家たちの絵をカラーで載せたハンドアウトは美麗かつ情報量に溢れており、これから見に行きたいと思っているシャーロッキアンにとっては、とても良い予習の時間となった。
 いずれの発表者も、延期になった影響があるとおっしゃりながら、充実した発表で質問も時間いっぱいまで使うことになった。その後は次回12月予定の第250回記念仏滅会の幹事森田さんからアナウンスがあり、片づけをして一次会はお開きとなった。
 筆者のつたない進行にもかかわらず、大きな混乱もなく無事に会を開くことができたのは、副幹事を務めてくださった出嶋さんをはじめ各会員のご協力の賜物である。この場を借りてお礼を申し上げたい。二次会の時間まで自由行動として、会場内の展示(大阪大学構内で発掘されたマチカネワニの実物大骨格模型など)を見学したり、エントランス・ホールで議論をしたりして過ごし、11名が近くのイタリアン・レストランでコース料理を堪能した。
 着席前に手を洗うなど感染対策を万全にした上、2階を貸し切りにしていただいたおかげもあり、これを書いている現在、幸いにも具合の悪くなった方の報告は受けていない。しかし、第3波とも言われる感染拡大の影響を受けて大阪も感染者が増えており、今は次回も何事もなく会が開けることを祈るのみである。