19年10月の話題

秋の古都奈良での仏滅会

10月6日(日・仏滅)に、秋の古都奈良で、第246回の仏滅会が開かれた。本年はずっと仏滅の日を選んで仏滅会を開いていることも、趣味の文化団体の例会が250回に迫ろうとしていることも特記事項であるが、ずっと奈良仏滅会の幹事を勤める渡辺利枝子さんが「正倉院及び聖武天皇とホームズにもゆかりの地である。東京も京都もホームズ物には出てこない。奈良はうんといばっていいと思う」と言っているが、まさにそのとおりである。奈良で秋の仏滅会を開くのは最近では恒例と言って良いが、ここ10年ばかりの奈良仏滅会を振り返ってみよう。懇親会も毎回チャイナダイニング飛天。一行はすっかりホームズ様ご一行と思われているようだ。
〇第183回(2010年6月5日) 奈良婦人会館 出席18人
  発表 外海 靖規「SHの能力観」骨相学から発展しホームズの能力観もこの流れにある。
  発表 林  庄宏「SHという名前」WEJ413、415、416号連載。名前に関する文献に裏打ちされた研究。シャーロックは金髪を連想させるとのこと。
〇第192回(2011年10月29日) 奈良婦人会館 出席13人
  東大寺見学ツアー 聖武天皇陵、転害門、正倉院(外観)、東大寺ミュージアムなど(有志)
  発表 林  庄宏「ホームズの手配書」世界中の多くの人々を偏執世界に引きずり込み再起不能にした人物として手配。なかなかのザ・ゲーム。
  発表 野村 恒彦「英国と私」古書の世界で有名な発表者が、英国の古書店訪問について語る。
〇第199回(2012年10月6日) 奈良婦人会館 出席15人
  発表 林  庄宏「ホームズとジェントルマン」ホームズとワトソンはジェントルマンと結論。
  発表 増田 匡裕「本当は癒し系だったホームズ、ホームズ物語におけるグリーフ(悲嘆)ケア」一見協調性がないようで実は聞き上手だったホームズ。
〇第203回(2013年6月8日) 奈良婦人会館 出席16人
  発表 平賀 三郎「ホームズ研究の迷路」WEJ429、430,432号連載。顕微鏡的な研究ではなくもっと総合的な視野でウィットに富んだ研究が大切。
  発表 西浦  寛「ホームズをめぐるレディたちの世界史2 ラテン系女性たちとイギリスの国際経済」英国が中南米に経済進出後事件簿にラテン系女性が多く登場と指摘。
〇第210回(2014年6月7日)奈良婦人会館 出席12人
  発表 眞下 庄作「ストランド・マガジンの挿絵221Bの謎を追う(1)」 221Bを描いたストランド・マガジンの挿絵をピックアップ。
  発表 中尾 真理「シャーロック・ホームズと変装―探偵に変装は必要か―」 14の作品に変装が出てくるが、ホームズ以後の探偵小説にあまり探偵の変装は出てこない。
〇第219回(2015年10月3日) 奈良婦人会館 出席24人
  発表 増田 匡裕「本当は癒し系だったシャーロック・ホームズ」原語で読むとホームズの行き届いた心遣いがよみとれる。
  発表 中尾 真理「ホームズと変装(2)—『39階段』と国際スパイ団」 スパイとしてのホームズの《最後の事件》から『39階段』へと話は進む。
〇第223回(2016年6月4日)エルトピア奈良 出席10人
  発表 福島  賛「《白面の兵士》の消息」事件の舞台を探索し、ベッドフォード付近に絞り込む。
  発表 新野 英男「子どもたちにとってのホームズの世界」後の作品ほど被害者となる子どもが多いことを指摘
〇第234回(2017年10月5日)エルトピア奈良 出席15人  発表 眞下 庄作「ホームズの事件簿《緋色の研究》誕生の裏・秘話」コナン=ドイルの書簡、英文資料をあたった研究。
  発表 長谷川明子「ホームズ物語の言語学的話題~言葉の抽象性と具体性~」フランス語は語彙数が少ないが分析的で明晰との実例をサガンの小説で説明。
〇第240回(2018年10月6日)奈良女性センタ― 出席16人
  発表 福島  賛「銀星号を追って」プルマンカーとクラパムジャンクションから競馬場を探り、馬主のロス大佐の本名も探る。
  発表 長谷川明子「ホームズ物語とフランス」 ホームズ譚の中からフランスをピックアップし解説。
〇第246回(2019年10月6日)奈良女性センター 出席21人
  発表 中尾 真理「カズオイシグロ『浮世の画家』とミステリ―」
  発表 西川 秀和『ドイルの北氷洋日記』この日の模様は、11月に入ってから掲載される「仏滅会報告」でご覧ください。