19年7月の話題

WEJ500号に達した関西支部

JSHC関西支部では、去る6月8日に会報『ウエスト・エンド・ジャーナル』が500号を達成した。その他に「日曜版」を90号発行しているが、これは算入していない。JSHCの会報『ベイカー・ストリート・ジャーナル』は6月で457号なので、これをはるかに凌駕しており、関西支部の活動がいかに充実しているかが良く分かる。 第1号は昭和50年1月31日に発行さえたので、37年間継続している支部活動を反映している。内容もホームズ関係の情報や毎回の例会報告といった実務的なものが充実していると共に、毎号会員が仏滅会で発表したホームズ研究や、書き下しの研究論文が数多く掲載されている。 例えば、500号の紙面を見ると、「鈴木さん お墓にホームズの横顔」といった情報記事、「第29回追分フォーラム 盛大に開く」との5月の追分フォーラムの詳細な報告、『ホームズ物語とドイツ・オーストリア』と題する長谷川明子さんによるエッセイ、「THE DANCING MENノート」と題する林庄宏さんによるホームズ研究論文が掲載されている。追分フォーラム報告は参加者7人の共同執筆で、本年から展示会を併設して地元に公開していて好評であったフォーラムの模様をつぶさに伝えている。長谷川さんの絵性は、まさに500号の紙面を飾るにふさわしい格調のもの、林さんの論文は、そこまで細部を見ない一般読者にとってはショッキングな、ホームズの原書によって暗号に使われている人形の形が違っていることを指摘する基本的な研究。ストランド・マガジン、オックスフォード、ジョン・マレー、コリアーズ、と有名な原書であるが、この人形の形が少しずつ違っている。これでは暗号解読も出来ないので由々しい問題である。 特記すれば、追分フォーラムの校長をつとめられ、3月に急逝された鈴木利男さんが、生前にお墓にホームズの横顔を刻んでおられたとの記事がある。ご遺族から教えられたこの記事は、鈴木さんこそ真のシャーロキアンではなかったか―との思いにさせてくれる。 末永く天国からお見守り下さいと祈らずには居られない。