2020年6月の話題

興味津々だった6月6日(予定)の250回仏滅会

6月6日(土)は、大阪市総合生涯学習センターで第250回仏滅会が開かれる予定であった。実行委員長は古参会員の眞下庄作さん、舞鶴ででのシャーロック・ホームズとコナン・ドイル博と舞鶴遠足仏滅会の道を拓いたアイディアマンである。250回記念仏滅会に期待をよせた会員は多いと思われる。
 512号に掲載された記念事業の計画では「大袈裟な式典を行うのではなく、日常的に記念となる活動を行うことにした」とある。具体的には大阪でホームズ劇を上演した劇団とタイアップしたり、特製ホームズ切手を作成したり、足が地についた行事が進んだ。
 記念仏滅会の当日次第を見ても、実行委員長による記念事業報告に続いて中島俊郎さんの発表「女王陛下のシャーロック・ホームズ」、何の話になるか興味深い。250回記念として、ビンゴゲームを行って蔵書の一部を放出される予定でもある。先日逝去された川島昭夫さんと共に名うての古書マニア、オックスフォードも股にかけ、先に古書の本を出された。6月6日の予定は8月1日に変更されたが、願わくばこのスケジュールが実現することである。
 東京のホームズ・ドイルの書誌研究の第一人者というべき新井清司さんの「明治期におけるドイル移入史」も興味深い。ただコロナウィルスのため来阪が難しくなりこの発表がお流れになったのは残念である。実行委員長にお願いして他日を期したい。
 ただドイルの作品の移入史や出版史など書誌的な研究は限界に近いレベルに達したと言って良いので、次は作家研究や作品研究といった文学研究の新境地に進むことが出来るかどうかとの課題も残る。
 もう一件、鬼丸武士さんの「スマート監視国家の史的起源―サーベイランスとホームズ」も250回記念仏滅会に相応しい企画である。中学生時代に関西支部に入会し、「ベーカー・ストリート・ジュニアーズ」と言うヤングシャーロキアンの内部組織を結成して活動したことは、仏滅会250回記念特集の508号に紹介されている。長じては京都大学大学院で故川島教授の指導も受け、本年2月には九州大学教授に就任した。ホームズだけではなく、学問の道でも研究に励んだのである。今回はいわば故郷に錦、期日が8月1日に変更になったが、発表が実現されるよう望むばかりである。ある意味で仏滅会250回に相応しいプログラムと言える。
 この上は、JSHCから育った小説家やミステリー作家は未だ誕生していないのが心残りである。作家や文学者がホームズの世界に参加していただくのは大変ありがたい。しかしこれに留まらず仏滅会も250回、JSHCも30年をけみすることになるので、JSHC出身のミステリ―作家が育てば愉快という他はないだろう。