2020年2月の話題

シャーロキアンの本道を歩む関西支部

2月の仏滅会では大阪でホームズ劇を上演中のシアターOMの俳優を招いて、次回公演の《赤毛連盟》の寸劇を演じてもらった。これは6月6日に第250回記念仏滅会が開催される予定であり、その記念行事の一環であった。既に記念行事は始まっているのである。 本年はベートーベン生誕250年、日本では毎年末になると各地でプロ・アマを問わず「第九」を歌う声が鳴り響く。また《緋色の研究》でホームズが世に出て133年、生年は不明であるが、シャーロキアンの研究によると1854年生れとする説がかなり有力で、もしこのとおりだとすると生誕155年になる。両者とも一世紀以上も前に発表された作品が、今日なお世界中で多くの人々に親しまれている。 日本のシャーロキアン新井清司氏の研究が詳しいが、日本でも明治27(1894)年に、早くも《唇の捩じれた男》が《乞食道楽》の題名で翻訳されている。ロンドンで『ストランド・マガジン』に発表されたのは1891年なので、わずか3年後に紹介されているのには驚きである。いずれにせよ、英国を先頭に全世界にシャーロキアンが誕生してやはり100年をけみしているのである。 日本人のシャーロキアンとしては、慶應義塾塾長や東宮参与(平成天皇の御教育係)を歴任した小泉信吉氏や大蔵省の事務次官を務めた長沼弘毅氏が有名である。シャーロキアンのクラブとして組織化したのは小林司氏で夫人の東山あかねさんがこれを支えた。関西支部の誕生は、会報『WEJ』に506号(2019年12月発行)以下に連載されている「仏滅会250回記念特集」に詳しいが、昭和56(1981)年である。この日に第1回の例会仏滅会を開き、今年6月に第250回を迎える。会報WEJも本年10月に5500ページに達する見込みである。 シャーロキアンの楽しみはホームズ研究と会員相互の親睦である。仏滅会は毎回1~2編のホームズ研究が会員に寄って発表され、これがWEJに掲載されたり論文集『SH紀要』に投稿されている。また例会終了後、必ず親睦会を開き、シャーロキアンの二大目標である「研究」と「親睦」を250回に及んで実行し、5500ページを発行するのである。 また来年は関西支部結成40周年に達する。40年間にわたってシャーロキアンの本道をあゆみ、充実した活動を続けて来た有意義なマイルストーンを三つ数えることとなる。 すでに会員眞下庄作さんが仏滅会250回記念事業の実行委員長を勤め、「仏滅会250回記念特集」の連載を初めとし、いろんな行事が行われる。 常にシャーロキアンの本流を歩んで来た関西支部、今後とも連載中の「仏滅会250回記念特集」(その4)に採録されているSH紀要第1巻第1号発行に際しての創刊の辞に小池滋さんが書いておられるとおり、地位や名声、収入などの世俗的動機は論外とすr姿勢で、充実した活動が続けられることであろう。