第278会仏滅会報告

6月神戸仏滅会のご報告
秦 浩洋

2025年6月15日(日)、第278回仏滅会が神戸・三宮のセンタープラザ西館で行われました。
 今回の幹事は神戸市在住の篠田典子さん、同じく神戸在住の秦が副幹事を勤めさせていただきました。ちなみに篠田さんは昨年10月の第274回仏滅会で研究発表をしておられ、WEJ573号と574号にその論文を投稿しておられます。 6月とはいえ暑い中、定員42名の部屋がほぼ満席になるほど多くの方が参加者された今回の会でした。
 皆様本当にありがとうございました。発表に先立ち、中尾真理さんから5月の追分フォーラムの報告が行われました。これもこの日に配布されたWEJ572号に掲載されています。 地元公開行事としているので別荘族の人々をはじめ地元からの参加者もたくさん見え、軽井沢文化協会のご代表などからご挨拶いただいたそうです。
 4月の仏滅会では今年の追分フォーラムの参加者や発表者が少ないのではないかと心配されていたのですが、蓋を開けてみると例年通りの盛会となったそうでよかったです。 さて今回の1つ目の研究発表は、福島賛さんの「19世紀のポスドク問題~ワトソンの学歴に見るヴィクトリア朝英国の社会問題~」でした。
 ワトソンの学歴、軍医時代、開業時代などを実際の資料を数多く集められていました。小説内の記録やホームズやワトソンの発言ももちろん絡めながらいろいろと考証されていました。
 質問タイムでは、ワトソンがいた当時のロンドン大学について論じ合う瞬間もあり盛り上がりました。そもそもワトソンが医学博士号を持っていたか?医師の資格はどこで取得したか?といった基本的な事項まで及び、とても解明されることはないみたいです。
 休憩の後、参加者皆様の近況報告を頂きました。仏滅会参加者の(自分が思っていたより)多くの方が大阪万博に行かれていて、その方々の生の声が(忖度ないので)良かったです。これから万博に行かれる予定の方々には参考になると思いました。また予定のない人(私など)も楽しく拝聴させて頂きました。
 そして今回も、シャーロック・ホームズの舞台を公演しているシアターOMから羽田野裕美さんが参加されていて、多彩・多才な集まりで勢いのある近況発表でした。
 副幹事の秦から、名探偵コナングッズの「レンズが光る眼鏡」を2種類紹介しました。アニメではコナンが「そうか、わかったぞ」と言うときにレンズが光りますが、それを再現した眼鏡です。後半発表者の吉本さんにかけて頂きました。レンズがピカピカ光ってとてもおもしろかったです。
 2つ目の研究発表は、吉本研作さんによる「ボヘミアの愛聞」でした。ホームズの短編小説で最初に発表された、当時のボヘミア国王の恋愛失態話「ボヘミアの醜聞」をもじったテーマです。
 吉本さんは、当時のボヘミア、ハプスブルグ家の歴史や、小説の手法などを説明された後、クーデンホーフ光子さんの愛情深い生涯を紹介してくれました。オーストリア=ハンガリー帝国の外交官ハインリッヒ・ヨハン・マリア・グーデンホーフ=カレルギー伯爵が代理公使として東京に着任していた時に、青山家の三女みつが、芝の高級料亭に奉公していましたが見染められ、結婚しました。国際結婚第一号と言われています。まさにボヘミアの国王による醜聞ならぬ伯爵の愛聞です。このあたり毎回の吉本さんのセンスは、他のものになかなか及びません。吉本さんはとても光子さんに魅かれておられて、心の内の絶賛が今日の研究発表につながったのではないかなと思いました。そしていつもの吉本さん独創の小噺を披露してくれました。
 今回の交流会は三ノ宮・東門の入口近くにある「居酒屋かねまさ」でした。美味しいおさしみやさくさくの天ぷら、からあげ他お酒と共に(私はオレンジジュース)沢山いただきました。 私は三回(三年)の神戸の仏滅会に来させて頂きましたが、年々参加者が多くなっています。テーマも豊富です。喜ばしい事です。これはドイルやホームズの魅力もさることながら、会員・関係者各々の力の賜です。感謝と敬意を込めて、…ありがとうございます。