仏滅会報告

12月大阪仏滅会・大納会報告
眞下 庄作


 暦上では「大雪」のなか、仏滅会は納会を兼ねて副幹事の吉川佳代さんをはじめ多数の参加者を得て会場は、中央電気俱楽部の会議室で開催された。
 最初の講演は、英語圏児童文学会などで活躍の藤井佳子さんのパワーポイントによる「ヴィクトリア時代の学校物語とその周辺」である。
 プロローグは、全寮制の私立中等教育学校のThe Nines(1382年Winchester~1611年Charter House)等を、学校物語とは「学校を主たる舞台として起こる事件や寄宿舎での暮らしが、教師、生徒、その友人たちの人間模様を織り込みながら描かれた物語」を自撮の多数の写真入りで発表される。
 まず①「トム・ブラウンの学校生活」1857が現れるまででは、時代を代表する出版社「宗教トラクト協会」が子供向けの週刊雑誌The Child’s Company, The Boys’s Own Paper, The Girl’s Own Paper, や単行本Tom’s Torch, Idle Jennyなどを説明。
 ②「トム・ブラウンの学校生活」と「エリック」ではトマス・ヒューズ(1822-96)の履歴と著作「トム・ブラウンの学校生活」における主人公がラグビーへ入学、友情、男らしさ、スポーツを礼賛する姿を挿絵付きでマクミラン社から出版、大ベストセラーとなった。マールバラ校長のフレデリックW.ファラー(1831-1903)が1858年に史上初のパブリック・スクール内部から生まれたパブリック・スクール物語「エリック」を、学校物語の三部作を発表。
 ③「すごい!ラグビー校人脈」では、トマス・アーノルド校長(1795-1842)をトップに数多くの文人・教育者たちを輩出、その一人タルボット・リード(1852-93)の人柄と彼の1880年からのBOP誌創刊号(Jan.18. 1879)における彼の巻頭言や数多くの著作や通った学校City of London Schoolなどを紹介。 
 最後④「ヒューズのもう一つの学校物語」ではトマス・ヒューズの社会的活動、キリスト教社会主義運動、Working Men’s Collegeの創設メンバーのラスキン,ロセッテイ等や牧師をしている時に小学校の設立に関与したチャールズ・キングズリー(1819-75)、やF.D.モーリスやヒューズらが設立したWorking Men’s Collegeと歴代の校長の銘版等。
 「トム・ブラウンの学校生活」は学校物語の嚆矢とされるが、「トム」以前に大量の学校物語が出版されたが、他は残らなかっただけであり、Working Men’s Collegeはトマス・ヒューズがモーリスをはじめとする大勢の仲間達と紡いだもう一つの学校物語である。決して完結することなく続いていく終わりなき物語である、と締められた。
 ホームズやワトスンの少年時代が、おもわず眼の前に浮かぶすばらしい内容であった。
 歴史ある建物をバックに記念撮影、一部の館内見学後は、楽しみのティーブレークと自己紹介・近況報告・情報交換・持参本回覧・お年玉はがき配布・追分フォーラムと次回の案内などが行われた。
 次の講演は、佐々木一仁さんの「ホームズはEU離脱に賛成したか?反対した?」である。
ホームズが現在も未来も生き続けているなかで、イギリスのEU離脱発効2020年に至るまでの下記のような歴史について発表があった。
まずは欧州統合への歩み(ハーグ会議から政治統合の2009年のリスボン条約、欧州連合創立のチャーチルをはじめ11余名の父)から始まり、国民国家としての連合王国の成立(ノルマン征服からイギリス領インド帝国成立)議会政治と政党政治の発展(中世期における身分制議会から現在の7党)イギリスの外交政策の推移(英仏百年戦争から帝国から連邦へ)欧州共同体(EC)加盟(汎ヨーロッパ主義からイギリス連邦)サッチャー時代(保守党のてんかんから米国との関係)労働党政権時代(第三の道から多党化)欧州懐疑派の台頭(欧州統合への反発から国内分断)ホームズの政治観(イングランド人から米国や帝国への認識)ホームズの欧州統合への認識(第二次世界大戦後の“国是”をどう捉えるか?)最後に(混沌とした時代を生き抜くホームズの知恵)等々、イギリスについて詳しく述べられた。
 ホームズは、離脱に賛成した!あるいは棄権した!ということに….。結論は、来年の「紀要」で発表される。大いに期待、楽しみたい!
 懇親会は、つい最近、阪神タイガースの平田ヘッドコーチが二軍の監督となり同じ館内の大ホールで講演前に利用された特別食堂で盛り上がった。