仏滅会報告


4月甲南仏滅会報告
福島 賛

 当日朝から雨模様という予報が幸いにもはずれ、いかにも春らしいうららかな午後となった4月6日、第277回の仏滅会が兵庫県神戸市の甲南大学において開催されました。ちょうどオープンキャンパスのイベントと被っていたにも関わらず、今回は大学の「つながる学園推進室」のバックアップのもと、ポスター設置やチラシの配布、充実した教室の設備を使わせていただき、会場の使用時間もかなり余裕のあるものでした。オープンキャンパスのおかげで春休み期間中は閉鎖されているカフェテリアなども営業していて、大学に早く来たメンバーにとっては昼食の選択肢が増えて好都合でした。
 最初は甲南大学名誉教授の中島俊郎先生による講演「シャーロック・ホームズと博物学」から。
 2018年に退任されてから7年経っていらっしゃいますが、現役時代とお変わりなく、豊富な資料を基にして、主にハチに関する研究の変遷を縦糸、ギルバート・ホワイトの『セルボーン博物誌』を横糸に、「実験と観察と演繹法」によって研究が進められることを示され、まさにこの3語がホームズの世界の根幹を成していることを強調されていました。貴重な蔵書も回覧され、特に『パンチ』誌に掲載されたパロディ「リックロック・ホールズの冒険」の原文は印象深いものでした。
 『セルボーン博物誌』は日本語訳もいくつか出ていますが、岩波版訳者の寿岳文章先生も甲南大学で教鞭を取られており、学園歌の作詞をされていることも明記しておかねばなりません。

ティーブレイクの後、情報交換の時間では、シアターOMさんの5月公演「六つのナポレオン」に関する事前告知が稲盛さんをはじめ出演俳優の皆さんから行われました。5月9日金曜の夜の公演を皮切りに3日間だけのお芝居ですのでお早めにお申し込みくださいとのこと。本誌でも報告が掲載されることと思います。また4月よりNHKカルチャー梅田教室でも中尾真理先生の「原語で読むアガサ・クリスティー」が開講されることも告知されました。
 次の発表は渡邊利枝子さんによる「映像作品における『ヒューゴ・バスカヴィルの肖像』」です。
 《バスカヴィル家の犬》はこれまで様々な映像化が行われてきていますが、実は原作の描写や設定された時代(17世紀・ブリテン革命時代)の服装様式両方を満たす映像はほとんどないとのこと。各映像から切り出されたステイプルトンの画像は実に様々で、ちょうど良い場面を探して展示するのに大変な労力が要ったものと推察されました。本当のところは映像そのものも流していただけるはずでしたが、会場の設備にうまく出力できず、レジメと同様の写真だけの投影となったことをこの場を借りてお詫びしたいと思います。
 最後に中尾さんからは5月の追分フォーラムの最終告知を、篠田さんから次回6月神戸三宮での仏滅会の予告をして頂き、散会となりました。
 閉会後は有志18名で大学の最寄り駅JR摂津本山近くのイタリアン・レストランに移動し、飲み放題付きコース料理を堪能しました。
移動の途中には水上勉の小説「桜守」のモデルとなった邸宅跡である「岡本南公園(通称桜守公園)」で満開の桜も鑑賞でき、非常に内容の濃い仏滅会となったと思います。
 今回の開催にあたり、受付をはじめ2次会の司会をお勤めいただいた副幹事の出嶋さん、大学のご近所というだけで2次会会場下見までご一緒していただき、他にもいろいろとご配慮頂いた林さん、ポスター・チラシ設置や会場の手配をしていただいた「甲南学園つながる学園推進室」の木村課長に心から感謝申し上げます。