第269回仏滅会報告

12月仏滅会報告
吉川佳代・森田由紀子

 まずはハッピーなニュースを2件。
 その1:12月の声を聞くと「青いガーネット」を読みたくなるのはよくあることですが、今回の仏滅会では、あひるのぬいぐるみポーチに青い物体を入れて楽しむという新手のcaseが報告されました。
 その2:寒空にもかかわらず、九州方面から2名の参加があり、お2人の熱意も加わって、より活気に満ちた会になりました。会場は、JR北新地駅の前に聳える大阪駅前第2ビルの大阪市立総合生涯学習センターの第4研修室で、12月2日(土)に開催されました。出席は20人、幹事は森田さんと吉川が務めました。なお、昨年は宮城県から出席された方がありました。 前半の発表は、中尾真理さんによる「ジェイムズ・ジョイスから見たコナン・ドイル」。シャーロッキアンで且つJane AustenやJames Joyceなどの作品の研究者でいらっしゃる中尾会員ならではのぜいたくすぎる発表に聞き入りました。
 はじめにジョイスの紹介、次に23歳違いの2人(ドイルが年長)の共通点と相違点を説明され、その中で、人生を「冒険」と捉えていたであろうドイルの人生観や、作品の随所に見られるドイルの正義感にも触れられました。その後、ジョイスが『ユリシーズ』の中でドイルの作品に言及している部分について、ジョイスの文章と中尾会員ご自身による日本語訳とを並行して読みすすめながら解説をしてくださいました。
 例えば、『ユリシーズ』第16挿話にはsherlockholmesingというジョイスの造語が登場し、「シャーロック・ホームズよろしく観察する」という意味で使われているとのことです。また、同第17挿話には、鏡に映った23冊の本についての記載があり、その中にはドイルの『スターク・マンロー書簡集』も含まれているのですが、その本がダブリン市公共図書館の蔵書であり、返却日を13日超過していることなどが書き添えられているそうです。
 ジョイスはドイルの作品にどんな感想を持っていたのでしょう?『ユリシーズ』中のドイル作品への言及はオマージュ? それとも皮肉? ジョイスがホームズを読んでいる場面を自分なりに想像してみるだけでも何だかワクワクしてきます。もしシャーロッキアンだったとしたら. . . 私の意識の流れは楽しくゆらゆらと100年以上の時間を遡って行きました。
 鬼丸さんが午後の研究会に出席される関係で休憩もそこそこで年末恒例の写真撮影をしました。それから自己紹介・近況報告がありましたが38年振の阪神タイガースの日本一についての話題も持ち上がりました。わざわざパレードを見に行った人も居てホームズクラブ内にも虎党の割合は多いようです。
 その後二人目の発表に移りました。予定していた新野さんがご家族の都合で来阪できなくなったため平賀さんが登壇されました。平賀さんは予定の講師が出席できなくなった時のため、常時スタンバイしておられるとの事でした。春に亡くなられた小池滋先生のお別れの会に参加するためわざわざ東京まで行かれたとのことで会の様子についても報告され、先生が追分のホームズ像建立の際に反対の会員も居る中でいかに骨を折られたか語って下さいました。時間が押して予定されていた内容を十分お話になれなかったのではと幹事として責任を感じました。
 懇親会は昨年と同じグランフロントの世界のワイン博物館で(昨年はビール博物館でした)いつもより少し豪華な?料理とワインを楽しみました。