第254回神戸仏滅会のご報告
山原 翔太
新型コロナウイルスがまだまだ猛威を振るう中、また3度目の緊急事態宣言が発出される中、
兵庫県民会館での開催となりました。会場の近くには色とりどりの花々が咲き誇る相楽園や、明治35年に兵庫県本庁舎として建設された歴史ある建物の兵庫県公館を目の前にした場所での開催となりました。
例年以上に早い梅雨入りとなった近畿地方では、この日も午前中からジメジメとした気候で、参加者の中には駅からの道中で汗だくになってしまった人も見られました。もちろん入室時には検温の実施、会場内の換気を徹底した上での開催となり、緊急事態宣言下、かつ梅雨の気候ということもありましたが15名の方に参加いただきました。受付時には見吉さんからのオリジナル名札ケースの物販があり、こちらは2種類のご用意がありました。1つは緋色のネックストラップの名札ケース、もう1つは革製ネックストラップの名札ケースでした。どちらも名札を入れる部分にはホームズのイラスト入りとなっており、職場などでも非常に目を引くアイテムでした。
まず一人目の発表は吉本さんの「The Memories of Sherlock Hoax」。最初の項目の“魔犬伝説再考”では、「バスカヴィル家の犬」での昆虫学者ステープルトンの終焉の地とされるグリンペン沼地で、本当にステープルトンは沼地に呑まれて亡くなってしまったのだろうか?これはTV番組などでもたびたび紹介されるダイラタンシーの物理現象ではないのだろうかという考察。
泥濘に飲み込まれて、もがき苦しみなくなるというシーンは映画では鉄板のシーンではあるが、もし実際に沼や流砂にはまってしまった場合は、パニックを起こさず、ゆっくりと体制を整え、大きな動きで直近の固い地面へと移動することが泥濘から脱出する方法のご紹介もあり、実生活でも役立つ内容となりました。
また吉本さんから実に貴重な資料の回覧もあり、魔犬伝説の実物の牙やタイムズ紙からの切り抜きで作られた脅迫文などの回覧もあり、非常に盛り上がった内容でした。また吉本さんから実に貴重な資料の回覧もあり、魔犬伝説の実物の牙やタイムズ紙からの切り抜きで作られた脅迫文などの回覧もあり、非常に盛り上がった内容でした。
ティーブレイクを経て、恒例の近況報告・情報換となりました。長引くコロナ禍での日々の状況や、ちょうど仏滅会開催の6月5日は宝塚歌劇団での『シャーロック・ホームズ-The
Game Is Afoot!-』の一般前売の日と重なっており、宝塚でのホームズを題材にした公園は非常に珍しく、宝塚談義に花を咲かせる時間となりました。
後半は福島さんの「ホームズの大学再考」。長年の議論の的となっている出身大学についてグロリア・スコット号とマズグレーヴ家の儀式書を手掛かりとして考察をしてみるが、どこかに矛盾点が生じているという考察からスタート。グロリア・スコット号では友人のトレヴァーとの会話の中で、礼拝堂に向かおうとしたとき、愛犬のブルテリアが踝に噛みついたという記述があり、マズグレーブからはホームズがロンドンに初めて出てきた頃、モンターギュ街に下宿をしていたという記述がある。以上から、どこかの大学を中退しロンドンへ引っ越しをしてきたと推察できるという仮説を立てていました。
ここからは過去の研究に基づき、ホームズがケンブリッジなのかを定める工程や、スリークウォーターの失踪からホームズはケンブリッジは不案内だったのではという疑問点や、なぜロンドンへ移り住んだのかなど、さまざまな考察を経て結論へ至っておりました。非常に内容が深い発表内容であったため、いろいろな方からの意見が飛び交い、非常に活発な議論となる内容でした。
あっという間に17時となり終了時刻となりました。二次会は県民会館からすぐの四川曹家官府菜 蜀というお店で四川料理に舌鼓となりました。今回幹事を担当していただきました篠田さんに感謝申し上げます。また次回の開催時にはより一層コロナ禍が終息に向かっていることを願っております。