第259回仏滅会報告

第259回豊中仏滅会報告
福島 賛

1月27日から延長に次ぐ延長を繰り返していた「まん延防止等重点措置」が、3月21日をもってようやく解除された。相変わらず感染対策には気を使わなくてはいけないものの、寒さに対してはあまり気にすることがなくなってきた4月2日第259会仏滅会が豊中市にて開催された。
会場となった岡町の豊中市地域共生センター・桜塚会館は、以前「豊中市福祉会館」があった場所に新しく建てられた公共施設であり、岡町での開催は10数年ぶりである。筆者が学生で会に参加したばかりの頃はちょくちょく開かれていた覚えがあるが、木のテーブルが配置された定員10名ほどの古い会議室で、今は亡き三宅さん・松下さんの発表を平賀さん・翠川さん・私の3人だけで聞いたこともあった。周辺も色々と変わってしまったが、ちょうど見ごろを迎えていた近くの公園の桜だけはあの頃と変わっていない。
発表は田村さんの「昔話とカードのいかさま」から始まった。ホームズクラブ関西支部の創設メンバーのお一人なので、昔話として42年前の1980年に日本シャーロック・ホームズ・クラブの京都大会が契機となって1981年に第1回仏滅会が開かれたことと、その前後日本で何があったのかを話された。大平総理死去やポートピア博などはともかくとして、その年の乱歩賞まで紹介されるとは恐れ入った。
「カードのいかさま」については、《空き家の冒険》におけるモラン大佐の「いかさま」はどのようなものだったのか考察するもので、カードの細工やすり替えはもとより、記録の細工も可能性があるという視点が新鮮であった。
予定では京都亀岡の英国村(ドゥリムトン)から職員の方を迎えるはずで、予め告知もしていたのだが、土曜日の都合がつかなくなったとのことで、急遽お願いした形であったにもかかわらず、精力的に発表をしていただいたことに感謝したい。
各自で用意した飲み物と差し入れのお菓子によるティーブレイクの後、近況報告では、指さんの学生時代に制作したというホームズ像が披露され、注目を集めた。また、見吉さんからひと月後に迫った第30回追分フォーラムについて最終告知もあった。実に3年ぶりとなるフォーラムであり、昨年は緊急事態宣言により直前になって中止の憂き目にあっただけに、今度こそ無事に開催できることを祈って止まない。
2番目の発表は増田さんの「社交的にもなれる社会性を持つホームズ」である。以前の「意外と〝癒し系〞だったホームズ」の続きであるが、臨床心理学の理論である、「パーソナル・コンストラクト理論」を使って、ホームズとワトソンの友情がいかに自然なものなのかを、正典中の事例を用いて具体的に議論されていた。前回・前々回の発表を含めていずれ紀要にまとめていただけると思うが、「シャーロッキアンに限らず、同好の士であっても内ゲバと無縁ではいられない。」というご指摘には、深く頷くより他はなかった。
時間が押してしまって質問時間が少なくなってしまったのは筆者の時間配分のミスである。この場をお借りしてお詫びしたい。
昨年2月同様、副幹事を務めてくださった出嶋さんのおかげで会の進行も滞りなく進んだ