2020年2月仏滅会報告
和2年の最初の仏滅会は、2月15日神戸御影公会堂で開催されました。いわば新年会とでもいうべき会ではありましたが、最初は寂しいお知らせをすることになりました。入院加療中であった川島昭夫先生が直前に亡くなられました。お付き合いも長く密であった平賀さんに、ご自身の発表の前に先生の思い出話をお願いして一同黙祷してご冥福をお祈りしました。先生のことで私の記憶に残っていることは発表の折に詳しく下調べをされて資料を整えられ、ある時は細かい地図を見るのに不便だろうと沢山のルーペを持参されたことです。お偉い学者先生ですが優しいお心遣いに感謝するとともに、あれだけ沢山のルーペをどうして調達されたのかしらと参加者の間で話題になったことでした。関西支部の活動やホームズ研究を豊かな学識で楽しんでおられたようでした。もっともっとお話を伺いたかったです。さて、今回は内容盛り沢山で二人の発表に加えて、シアターOMのホームズ劇「赤毛連盟」の寸劇。6月の250回記念仏滅会の件、追分フォーラムの件等お知らせ事項も沢山で進行に気を遣うところです。最初の報告は真下さんの「仏滅会250回記念行事について」。すでに2019年12月発行のWEJ通巻506号で記念行事特集その1の記事を掲載、今年1月発行の通巻507号でその2が紹介されていますが、今回はその3です。本日の目玉イベントとも言えるOMシアターの紹介など、途中前回公演を鑑賞された渡辺利枝子さんの感想も交えて聞かせていただきました。250回の記念品としてオリジナル記念切手発行の希望もあるようです。勿体なくて使えないかなあ~?最初の発表、平賀三郎さんの「白銀号のホームズ学」は、WEJ連載の「ホームズ原理主義と発展主義(27)」でも取り上げていらっしゃいます。列車の窓の外をチラッと眺め「今丁度時速53マイル半」だと指摘した件。当時の高速運転を目指すSL列車運転速度による原理主義的研究と、数学好きシャーロキアンがいろいろな難しい仮説を考案する発展主義的研究のサンプルと言えましょう。白銀号の血統に関する話、更にはウエセックス杯の開催地は?等々。発表の後の福島賛さんの意見、当時はウィンチェスターでは近代競馬開催の記録はないとの発言あり、意見の交換がありました。平賀さんは現実的にウィンチェスターの競馬場の地図を示され、また事件簿の記述からここで地方競馬が開かれたとの説でした。福島さんはそのような文献があるとの説でした。
次はお待ちかねの、シアターOMのホームズ劇「赤毛連盟 プロローグ」です。衣装を着けて出てこられた皆さんを見てびっくりしました。宝塚の男役かと思われるホームズ役、赤いロングドレスの美人さん。これが何とアイリーン・アドラー! 劇は彼女が歌う有名なアリアから始まります。これは何か仕掛けがあるのだろうと思って見ましたが、最後まで私の知っている赤毛連盟の場面らしきものはなし、しかし誰も怪訝な顔していませんでした。後で前回公演のボヘミアの醜聞を観た人に聞きましたら、種も仕掛けもありで面白かったと。「赤毛連盟」もこの日は予告編です。きっと面白い展開が待っていることでしょうね。15分のプロローグのみでしたから3月の公演を観に行くしかない! グッズの陳列販売もあり、これも結構賑わっていました。本公演は谷町6丁目のシアターOMで3月20・21・22日だそうです。(HPあり)当日前売りのチケットの申し込みされた方も多かったようです。それにしても例会に劇団が出席して寸劇を披露されたのは、初めてではないでしょうか。ティーブレイクをはさんでいつも通り近況報告や情報交換がありました。手に入れた本や興味深いグッズも回覧され、いつもながらの盛り上がりがみられました。そのあとは眞下庄作さんの発表「ストランドマガジン記事のコナン=ドイル博士の一日」です。これはストランド誌1892年8月号に掲載された同誌ハリー・ハウ記者のインタビュー記事ですがこの長文を翻訳された根気には本当に脱帽です。内容はドイル博士の第一印象に始まり書斎の様子、経歴、シャーロック・ホームズの冒険誕生に関するエピソードなど。もちろんベル博士のことも語っています。次に見吉時枝さんから5月の追分フォーラムの概要説明あり、新しく校長に就任された中尾真理さんからの挨拶と5月の軽井沢にぜひお出かけ下さいとのコメントがありました。爽やかな綠と桜の花がきれいで、食べ物も美味しい。フォーラムの前後も軽井沢を満喫していただけること請け合いです。発表や展示が充実する他、参加者による前夜祭、懇親会、後夜祭を地元に公開を予定しています。250回を迎える関西支部仏滅会に相応しい、プログラムに、プロの俳優が出演する寸劇があり、また新年会に相応しい銘酒の店での夕食親睦会も、副幹事をお願いし、役割分担をしていただいた山本公代さんの手際の家さがあって、充実した例会になりました。また御影公会堂の地階には近代柔道の父嘉納治五郎之記念室があります。神戸などで柔道を習ったバートン、ライトが日本人の柔道家を伴って神戸港から帰国しています。ロンドン到着後護身術の道場を開き、また日本から連れ帰った柔術家と英国のレスラーの試合の興業をおこないました。この辺りは外国の研究家の知らない事ではないでしょうか。最後は懇親夕食会です。送迎バスで福寿の蔵元が経営する酒心館さかばやしへ向かいました。日本情緒豊かな料亭で、料理も上品、お酒も4種類味わえてとても楽しい時間を過ごしました。社長さんからノーベル賞の授与式後の晩餐会で使用された大吟醸酒2本の差し入れというサプライズもあり、宴会の後は全員幸せ気分で送迎バスに乗り込み帰途につきました。