2021年3月の話題

ホームズと金田一、ファンの活動は? 地元の支援は?
 岡山県倉敷市真備町は、名探偵金田一耕助の”生誕地”とされる。作家の横溝正史は第二次大戦中の昭和20年に縁故をたどって、旧岡田村に疎開した。金田一が登場する「本陣殺人事件」はここで執筆、約3カ年滞在した。「八つ墓村」「犬神家の一族」もここで書かれた。
 横溝の疎開宅は、地域住民が持ち回りで管理し、2021年からは倉敷市や周辺市町村による実行委員会を結成し、「巡・金田一耕助の小径」と題するバスツアーや登場人物に仮装して疎開地周辺を歩くイベントも行っていた。
 しかし平成30年の西日本豪雨で大きな被害を受け、図書館の横溝作品を含む書籍やDVD等12万7000点が水没する被害に遭った。新型コロナウィルスによって催しは中止されたが、変わってクイズラリーや小説の知識を競う「検定試験」を郵送で行う等、地元では工夫を凝らした取り組みが続けられ、実行委員会事務局を勤める倉敷市観光課では「コロナ禍でツアーや仮装行列は中止されたが、少しでも金田一耕助にふれてほしい、と話している。水没した図書もイベントに訪れた横溝の親族が横溝作品の寄贈も申し出て、図書館長は段ボール12箱分をいただいた。大変ありがたい」と喜んでいる。
 地元当局もファンもずいぶん熱意を持って盛り上げている。
 一方、軽井沢は世界で二番目のホームズ像建立の地であり、日本で初のホームズ全集を全訳した延原謙が別荘を構えた地である。もう一つ消極的ではないだろうか。倉敷市の金田一に比べ、どちらが因縁が深いだろうか。それにしては地元民も軽井沢町当局も、ホームズは世界的な存在であるので、国際文化・教養活動として地元がもっと支援し充実しないものかと思われる。