ホームズと世界遺産
「麗しの五月」なのにコロナ禍で、追分フォーラムも中止になり、どこへ行く当てもなく家でくすぶっている時、思いもかけない朗報が舞い込みました。
世界遺産に推薦されていた、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島にIUCNが登録勧告を出したということです。これで、7月に開かれる世界遺産委員会で登録承認されることがほぼ、確実となりました。日本の24件目の世界遺産、5件目の自然遺産となります。おめでとうございます!(パチパチ)←拍手
ホームズ氏のイギリスには32件の世界遺産があり、その内、大ロンドンと呼ばれる地域を含むとロンドンだけで4件あります。すごいすね~~。
「ロンドン塔」「ウエストミンスター宮殿、ウエストミンスターアビーとセントマーガレット教会」「キュー王立植物園」「海事都市グリニッジ」大阪は2019年にやっと「百舌鳥、古市古墳群」が認定されて1件のみ。うらやましいです。
ホームズの物語に関連する世界遺産と言えば、すぐ思い浮かぶのは「4人の署名」に出てくる、インドの「アーグラ城」と「高名の依頼人」でグルーナー男爵が「中国陶器」に関して口にする「正倉院」でしょうか。(まだあるかもしれませんが。)
「正倉院」は言わずと知れた「古都奈良の文化財」のうち、東大寺の構成資産です。
「アーグラ城」はムガル帝国のアクバル皇帝が首都アーグラに建設した城塞で、広大な敷地をもつ、「都城」です要塞として赤色砂岩で作られた無骨な作りの城塞だったのが、「タージマハル」を作った贅沢好きな5代皇帝シャー・ジャハーンが豪勢な大理石造りの宮殿やモスクを建てて華やかな城になりました。
しかし、「4人の署名」の時代には「誰も出入りせんで、さそりやむかでの遊び場になっている(阿部知二訳)」ということです。戦乱によって荒廃していたそのころには、そこが「人類の宝」である、世界遺産になるとは誰も思わなかったでしょう。
もちろん、ホームズの時代には世界遺産という制度はありません。アーグラ城塞も正倉院もただ、物語に彩を添えるエキゾチックは異国のものでしかないのでしょう。
さて、ここで妄想です。ホームズ物語の重要な舞台となっている、べイカー街221Bが世界遺産になったら…。
10ある、世界遺産の登録基準のvi(6)は「顕著な普遍的価値を持つ出来事、生きた伝統、または思想、信仰、芸術的、文学的所産と直接、または実質的関連のあるもの」ということです。ホームズ物語は「文学的所産」ではないでしょうか?もちろん、我々ホームズファンにはベイカー街は「聖地」と言えますが、「普遍的価値」という大前提があります。人類の中でホームズファンはどれくらい「普遍的」なのか?(>_<)
世界遺産数が1000を超えた今、新しく登録されるのは年々難しくなっています。実際の場所も特定されていない221Bが候補になることはないでしょう。これは妄想にしておきましょう。
残念!といったところで、もう一つホームズ関連の世界遺産があることに気が付きました。作者ドイルの出身地であるエディンバラは「エディンバラの旧市街と新市街」として世界遺産になっています。登録基準はii「文化交流」とiv「建築様式、建築技術」ドイルは全く関係ありませんけどね。