「ここよ!」の旅行
海外旅行の話になりました。実は以前、ロンドンに行ったことがあります。
関西支部の30周年記念行事としてスイスとイギリスへの旅に参加しました。スイスはマイリンゲンへ、そしてロンドンへ。ホームズ物語の「聖地巡礼」ですね。
物語の中の風景を実際に観て、感動もひとしおでした。ロンドンはホームズ物語の他にも多くの物語の舞台になっています。その街を自分の足で歩き回れるのは夢のようでした。
あちらこちら、妙な場所で「あれは、ここよ!!」と喜んでいるアジア系(おばはん)観光客は、はたからみると変なやつだったかもしれませんが、ホームズ譚の聖地ですもの、喜ばなくてどうしましょう。
で、帰りの飛行機の中で日本からの団体旅行のおばさまたちに会いました。同じおばはんの気安さで「ロンドンはどちらを見られました?」と聞いたところ、「覚えていない。」との答え。衝撃を受けました。ロンドンをいっぱい観光して印象に残っていない???
何でやねん!です。バッキンガム宮殿も行かれたでしょう?ビックベンもタワーブリッジも見たでしょう?きっと私より多くの名所旧跡を回ったはずなのに??
次に行ったのは家族旅行で中央ヨーロッパでした。お仕着せの団体旅行でしたが、私が若いころから行きたかったドイツはポツダムに行けるというので参加しました。
ポツダムのサンスーシー宮殿では、昔私のヒーローだった、フリードリヒ大王の墓に参ることができました。(残念ながら、ジャガイモをお供えすることはできなかった)
そして、オーストリア、チェコ、ハンガリーと回ったわけですが、やっぱり一番感動し、印象に残ったのはポツダムのサンスーシー宮殿でした。ウィーンの大宮殿やハルシュタットの絶景よりも、ブダペストの輝く夜景よりも、庭園の片隅にある墓に参ったことが一番の思い出です。
で、気が付きました。旅の感動は自分の思い入れに比例すると。自分が「ここよ!!」と思えることが感動となって記憶に残るのだと。ロンドンの観光名所が記憶に残らなかったおばさま達はあの街にあまり思い入れはなかったのかも。
せっかく高いお金を払って旅行に行くのなら、感動は多いほうがいいに決まってます。元取り精神旺盛な大阪のおばはんは「ここよ!」と叫ぶ場所を増やすために一大決心をしたのです。旅行先に関する知識を持つこと。興味を増やすこと。その手段として「世界遺産検定」を受けることにしたんです。おかげで世界中に私の「聖地」ができました。死ぬまでにこの目で見て、「ここよ!」と叫びたい場所が。
でも、今年はコロナ禍のために旅行はできなくなりました。
疫病の流行で深刻な影響を受けている人も多い中、旅行に行けないなどは小さいことなのかもしれませんが、いつか、ロンドンの裏通りで、ダートムアの荒れ地で、「ここよ!!」と叫びたいのです。