260回に達しますます充実の仏滅会
本年度の関西支部仏滅会も2月から順調に開催し、6月で第260回に達した。内容もいよいよ充実している。
2月仏滅会は梅田エステートビルで、林さんと森田さんから特色ある充実した発表があった。林さんの発表は「The Six Napoleonsノート」ノートを横に置き、気が付いた点などをメモしながら読む正統派読書人のようで、読み過ごしていては気にならない点まで詳しく論考したものと思われる。なかでも石膏の中に埋めると真珠の表面が変質してしまわないかとの疑問がだされ、コナン=ドイルの宝石知識に疑問が出された。林さんの発表はWEJ5月号、6月号、7月号と連載された。
次は森田さんによる「シャーロック・ホームズ 空白の3年間。なぜチベットなのかそしてその潜入ルートは」である。大空白時代にホームズがチベットへ行った件は、多くのシャーロキアンの興味を引いており、研究発表も行われているが、その研究発表は文献の断片的な引用と空想による机上の空論がほとんどであるが、森田さんは実際にネパールやブータンを訪れ、ネパール滞在中は大地震に見舞われ実地に訪れた目での報告であった。前半部分は4月号と5月号に連載中である。
4月仏滅会は、豊中の地域共生センター、旧桜塚会館で初期の仏滅会がよく利用した会場である。最初は田村さんの「昔話とカードのいかさま」。第1回仏滅会に出席されたご夫婦会員である。
第1回仏滅会とその後の社会での主な出来事をたどり、モラン大佐がいかさまゲームで稼いだとする方法を考察した。次は増田さんの「社交的にもなれる社会性を持つホームズ」。ホームズとワトソンの友情についての心理的な研究で、ここ何回か続けてきたテーマでそろそろまとめに近づいているようである。
6月の仏滅会は神戸の三宮センタープラザ。まず平賀さんから30回を数えた追分フォーラムの報告があり、町長が挨拶するなど地域の文化行事として認められたと報告があった。発表は指さんによる「《恐怖の谷》と年鑑」。ホイティカ年鑑など現物も持参して詳しい発表があった。第二講は吉本さんの「初夏は自転車に乗ってゴルフにでかけよう」だった。自転車の泥ハネやタイヤ跡の検証、ゴムタイヤの産地、それにゴルフ中のホームズの写真も持参された。
半年間6人の発表者を見ると、それぞれの工夫が感じられ、深く研究しているものが多い。JSHCでの初期の研究は、海外のホームズ本の翻訳に出てくる項目をネタにし受け売りが多かったようである。ホームズを実在の人物とみなし、疑似学問的な研究を愉しむのがシャーロキアン、しかし富山太佳夫の評論ではベアリング=グールドの注釈本を指して「いかに醜悪なエセ学問に辿りついたか」と指摘する。関西支部での発表にはそんな翻訳本の丸写しのようなものはないだろう。今後とも充実した発表が続くと思われる。
後半の仏滅会は8月、10月、12月に予定されている。