社会に門戸・追分フォーラム盛大に開催
第31回を迎えた追分フォーラムが、5月5日(祝)~6日(土)に軽井沢の中軽井沢駅にある町立図書館2階多目的室で開催された。新幹線軽井沢駅からしなの鉄道に乗り換えて1駅4分、改札口を出て徒歩3分という便利な場所での開催である。
追分にホームズ像が建立された時、クラブ主宰者の故小林司さんが会員による研究を奨励する「軽井沢セミナー」を設けた。並行して松下さんと平賀に「ホームズ像の足元でホームズ学の研究発表会を開いてくれないか」との依頼があった。なぜ2種類の研究会開催を求めたのか、今では不詳であるが、松下さんと平賀は、軽井沢セミナーは若い会員、新しい会員に研究や研究発表の機会を与えるもの、追分フォーラムはカルチャーセンターでも通用するようなレベルの内容のある研究を奨励しようとの意図をくみ取って、それぞれ特色を持たせながら実行している。
第1回は、平成元年、初代の校長は松下了平さんである。1回~12回の記録はWEJ537号に掲載されているが、これを見れば当初は会員中から実行委員長を選定して運営していたのが特色である。健康を害されるまで、小林さんは毎回のように出席され、東山さんは手作りのケーキを差し入れもされた。
第2代校長は足利在住の故中島粂雄さん、軽井沢に別荘を持ち、地元足利で商工会議所など広く社会で活躍しておられた。第3代校長は鈴木利男さん、上場会社の部長などを勤められ、二代続けて立派な社会人シャーロキアンで、鈴木さんはホームズ学に大きな成果を残された。一つは事件簿全60編の年代学研究を完成させたこと、世界でも11人目の快挙である。もう一つは教会の記録から墓碑までを調べあげてコナン=ドイルは複合姓であるとの事実を研究された。国際的業績を収められている。特記事項としては、4月に逝去された小池滋さんも参加され、その時、ホームズのパロディ作品として出色の百人一首を参加者が楽しんだが、温顔をほころばせておられた。パロディにはかなりの教養が必要である。
第4代校長が現在の中尾さん、大学名誉教授の称号を持つ英文学者である。もちろん、ホームズクラブは学会ではないが、クラブ内の研究者がそれぞれ打ち込んできた研究を次々と発表してきた姿が伝わってくる。
ホームズ学も純粋学問ではなくとも、断片的、孫引き的マンガにとどまらず、文学、史学に裏打ちされたレベルが大切である。追分フォーラムがホームズ学の発展に寄与することがあれば幸いである。